ビール世界一と言えばドイツ、ベルギー、アイルランドなどをイメージする人が大半かもしれませんが、国民一人当たりのビール消費量が最も多い国は、何を隠そう、そう、チェコであります。
キリンホールディングスが2005年に発表した以下の資料をご覧下さい。
Per Capita Beer Consumption by Country (2004)Rank
Rank
in
2003Country
Per capita volume
Total consumption (1,000 kL) Consumption (L)
Number of bottles in standard size 633-mL bottles
Year-on-year increase (bottles)
Consumption in Japan indexed as 1 1
1
Czech Republic
156.9
247.9
-3.2
3.1
1,878 2
2
Ireland
131.1
207.1
-7.1
2.6
521 3
3
Germany
115.8
182.9
-3.2
2.3
9,555 4
4
Australia
109.9
173.6
-7.6
2.1
1,678 5
5
Austria
108.3
171.1
-3.6
2.1
885 6
6
UK
99.0
156.4
-3.6
1.9
5,920 7
8
Belgium
93.0
146.9
-4.7
1.8
970 8
7
Denmark
89.9
142.0
-9.8
1.8
486 9
16
Finland
85.0
134.3
11.7
1.7
437 10
10
Luxemburg
84.4
133.3
-0.5
1.6
39 11
9
Slovakia
84.1
132.9
-8.5
1.6
456 12
12
Spain
83.8
132.4
0.9
1.6
3,376 13
13
US
81.6
128.9
-0.3
1.6
23,974 14
11
Croatia
81.2
128.3
-4.3
1.6
365 15
14
Netherlands
79.0
124.8
-2.7
1.5
1,269 16
15
New Zealand
77.0
121.6
-1.9
1.5
313 17
17
Hungary
75.3
119.0
2.8
1.5
755 18
18
Poland
69.1
109.2
-2.7
1.3
2,670 19
19
Canada
68.3
107.9
-0.2
1.3
2,183 20
22
Portugal
59.6
94.2
3.6
1.2
627 21
26
Bulgaria
59.5
94.0
4.4
1.2
448 22
23
South Africa
59.2
93.5
3.0
1.2
2,530 23
29
Russia
58.9
93.0
9.3
1.1
8,450 24
21
Venezuela
58.6
92.6
0.0
1.1
1,525 25
24
Romania
58.2
91.9
1.4
1.1
1,302 26
25
Cyprus
58.1
91.8
1.7
1.1
45 27
20
Switzerland
57.3
90.5
-2.2
1.1
426 28
27
Gabon
55.8
88.2
-0.9
1.1
76 29
32
Norway
55.5
87.7
8.7
1.1
249 30
30
Mexico
51.8
81.8
0.6
1.0
5,435 31
28
Sweden
51.5
81.4
-3.9
1.0
464 32
31
Japan
51.3
81.0
0.6
1.0
6,549 33
33
Brazil
47.6
75.2
1.3
0.9
8,450 34
34
South Korea
38.5
60.8
0.0
0.8
1,897 35
36
Colombia
36.8
58.1
0.3
0.7
1,658 (Reference) China
22.1 34.9
3.8
0.4
28,640 Note:
Total consumption volume in Japan includes that of beer, happo-shu (low-malt beer) andnew genre.
第2位アイルランドの一人当たり消費量を19.7%上回り圧勝。32位の日本と比較するとなんと3倍超にもなります。お見事!
ということでこのような背景を踏まえ、郷に入れば郷に従えで、チェコではビールをしこたま飲むことにしました。思い返せば、去年ミュンヘンのオクトーバーフェストで13リットルを記録して更新するまでは、6年半前にチェコで樹立した9リットルというのが1晩で飲んだ最高記録でした。さすがに今回そこまでは頑張れませんでしたが、きっと合計4、5リットルは胃袋に注ぎ込んだと思われます。
さて、そんなチェコの代表的ビールを2銘柄ご紹介したいと思います。
まず1種類目、ピルスナー・ウルクェル(Pilsner Urquell)です。日本でも圧倒的に主流の黄金色のビールを世界で初めて造ったのがこのピルスナー・ウルクェルの醸造所。それ以前は、イギリスやアイルランドで今でも主流を占めるエール、または、ラガーであっても黒ビールしか存在していませんでしたが、1842年、ドイツ・バイエルン地方から招いていた醸造技師の指導のもと、チェコのプルゼニュ(Plzen)で偶然誕生したそうです。ピルスナーの語源は、言うまでもなく、このプルゼニュという地名にあります。つまり、ビール好きにとっては、プルゼニュは聖地と言っても過言ではないかもしれっません(と言いつつ、僕自身未訪ですが・・・)。ピルスナー・ウルクェルの味自体は、喉越しすっきり、苦味が効きながらも、麦芽風味が濃厚で、まさにビールのお手本のような素晴らしさでした。糖分濃度が日本のビールよりも高いそう。カロリーが高そうですが、実に旨かった。バランスが百点満点。僕が今世界で1番好きなビールです。
そして2種類目が、ブドヴァイザー・ブドヴァル(Budweiser Budvar)。アメリカで有名な「バドワイザー」ビールの元祖であります。ボヘミア南部のチェスケー・ブディェヨヴィツェ(Ceske Budejobice)という町で造られているビールが美味しい上に美しいと評判だったことから、それに着目したドイツ系アメリカ人が自国に持ち帰り造ったのが、アメリカのバドワイザーの始まり。その後アメリカのバドワイザー(アンハイザー・ブッシュ社)が国力と資金力を持って急速に普及したため、元祖であったブドヴァイザー・ブドヴァル社と、度々商標権を巡って訴訟問題にまで発展したとこもあるそうです。従って現在でも、アンハイザー・ブッシュ社はヨーロッパ内では「バドワイザー」という名でビールを売ることができないとか。なお、もちろんこちらも言うまでもなく、バドワイザーの語源は地名ブディェヨヴィツェの英語読みです。ビールの味は、ピルスナー・ウルクェルとの比較感で言うと、キレと苦味がより強い感じでしょうか。アサヒビールのスーパードライに近くありつつも、こちらもやはり糖度が高いせいか、麦芽風味の濃厚さは勝っているように思えました。
肉三昧に引き続いて、ビール三昧。ずっとこんな生活を送っていると遠からず体を壊してしまいそうでしたが、まさに天国のようなチェコだったのでした。Na zdravi!(乾杯!)